NICUナースのおしごと

NICUで働く看護師が、NICUのこと、赤ちゃんのこと、育児のことを綴ります!インスタはnicubaby.instaです!

点滴について②ー2 中心静脈カテーテル

今回は、前回紹介した「末梢静脈カテーテル」の次によくみる点滴の紹介です。

 

1.中心静脈カテーテル(PI)ってなに?どんなときに使うの?

皮膚の表面にある血管からもっと奥の太い血管(中心静脈)まで糸のように細い点滴をいれます。

腕か足から行うことが大半です。太い血管に入れるので、末梢静脈カテーテルよりも厳格に清潔を保って入れていく必要があります。入れるのに時間もかかります。

・高カロリー輸液(栄養価が高い点滴)をするとき

高カロリー輸液は皮膚に近い血管で投与できません。(もし漏れてしまうと大変なことになります)なので、そのような点滴が必要なときはPIが選択されます。

・長期的に点滴をすることが予想されるとき

早く生まれていたり、心臓の病気や消化器の病気があるなど長い期間点滴が必要であると予想されるときは、PIを選択します。末梢静脈カテーテルでは、皮膚の表面に近い血管に針を入れているのでどうしても抜けたり漏れたりするリスクが高いので、何度も差し替えることになってしまうためです。

 

2.看護師はどうやって管理・観察しているの?

①点滴が詰まっていないか確認

糸のように細い管を血管の中に通しているので、長く使っていると詰まってしまう可能性があります。また、点滴のチューブが折れていたりすると簡単に閉塞します。なので、きちんと赤ちゃんに薬剤が予定通り届いているかを観察しています。点滴のための機器でも「詰まっていますよ!」と教えてくれる機能があるのでそちらも要確認です。

 

②血管が赤くなったり腫れていないか確認

長期間管を入れることになると心配なのは感染です。

点滴の先っぽがどこにあるかを把握したうえで(レントゲンで分かります)、その部位が赤くなっていたり、腫れていないことを確認しています。また、管の走行に沿って血管が赤くなることもあるので注意しています。

 

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カテーテルの長さが変わっていないか(抜けてきていないか)確認

抜けないように固定をしっかりしていますが、赤ちゃんの動きは予想外!なので、引っかかって抜けてしまう可能性も十分あります。なので、決まったタイミングでカテーテルの長さを測り、抜けてきていないかチェックします。また、固定が外れてしまったときはすぐに固定をなおします。

 

 

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点滴について②-1  点滴の種類~末梢静脈カテーテル~

今日は点滴の種類のひとつ「末梢静脈カテーテル」についてです。

点滴についてはよくご質問を頂きますし、私たちも毎日管理をしているものなので、話したいことがたくさんあります・・・

しばらく続きますが、ご興味のある方はぜひ。

 

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1.末梢静脈カテーテルって何?

NICUで一番よく出会う点滴は、「末梢静脈カテーテルです。いわゆる普通の点滴のことです。
からだの表面から見える青っぽい血管に針を刺して、点滴をします。
大人の点滴と比べると針は細く、身体に留置(ずっと刺している)する部分は柔らかいものを使います。
場所としては、手の甲、足の甲が多いです。ただ、赤ちゃんの血管は細く、点滴を刺すのが難しいのでどうしてもとれないときは頭などに留置することもあります。
また、赤ちゃんに「点滴抜けちゃうから動かさないでね」と言っても伝わらないので、抜けないようにしっかり固定しています。
腕や足全体にテープが巻かれていたりするので見た目がかなりショッキングかもしれません・・が、抜けないようにするための工夫です。
針が刺さっている部分はテープなどで隠れないように配慮し、点滴が漏れたりしていないか観察しています。

 

 

2.看護師はどうやって管理・観察しているの?

①針を刺している場所やその周りが赤くなっていたり、腫れていないか?

赤ちゃんのからだは元々赤っぽく、ぷにぷにしているので判断が難しいこともありますが、そのようなときは左右差をみています。右の腕が腫れているようだから左の腕との太さを比べてみる、というような具合です

 

②点滴の中身がきちんと赤ちゃんに届いているか?

ルート(点滴の管)の途中が何かの下敷きになって折れていたり、接続部がちゃんとはまっていないと赤ちゃんまで薬が届きません。
点滴の機械がきちんと作動しているかも重要ポイントです。

 

③点滴の固定は適切か?

固定がきつすぎると痛いですし、かといって緩すぎると点滴が抜けてしまいます。
赤ちゃんの動きや姿勢に合った固定の仕方ができているかも確認します。

 

★点滴の中身を変更したり、点滴の機械をいじったときは看護師2人で「きちんと合っているか」おたがいで確認する、という施設が大半だと思います!

 

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点滴の観察をして、なにか異常があったときは対処したり、場合によっては医師へ報告しています。
赤ちゃんの血管は細く、また、赤ちゃんの動きは止められないのでどんなに気を付けていても漏れてしまうことはよくあります。
「いかに早く異常をみつけるか」が重要だなあといつも思っています。

点滴について①なぜ点滴が必要なの?

お久しぶりの更新になってしまいました。
今回は点滴についての記事を書いていきたいと思います!

 

NICUに初めて入って、生まれたばかりの赤ちゃんに点滴がついていた・・とショックを受けるお父さんお母さんはとても多いです。
それは当然の気持ちだと思います。
しかし点滴は赤ちゃんの命を守る大切なものでもあるのです。

 

点滴って何のためにするの?

点滴の目的はいろいろありますが、主な理由としては
①水分や栄養をとるため
②薬をとるため
③輸血をするため
の3つです。ひとつずつ解説していきます。

 

①水分や栄養をとるため

早く生まれた赤ちゃんや、体調が悪い赤ちゃんは自分でミルクを飲むのが難しい場合が多々あります。
(大人も具合が悪いと食欲が落ちますよね)
また、消化が追い付かないことも多いので脱水や低栄養状態にならないように点滴をする必要があります。

 

②薬を投与するため

大人のように飲み薬もありますが、口からミルクを飲むのが難しいような状態で薬をしっかり飲むことは難しいですね。
もちろん点滴でしか投与できない薬もたくさんあります。
また、点滴が入っていれば点滴の管から注射薬が入れられるので、毎回注射として針を刺さなくて済む、というメリットもあります。

 

③輸血をするため

NICUでは貧血の赤ちゃんも多く輸血をすることも多いです。輸血をするときは点滴の確保が必要となります。

 

点滴には種類もたくさんあり、書ける内容もたくさんあるのでいくつかの記事に分けていきますね。

無呼吸発作

NICUでよく起こる「無呼吸(apnea)」についてです。

息が止まるので、みるみるうちに顔色が悪くなったりモニターがじゃんじゃん鳴り響いたりして、居合わせるとびっくりするかと思います。

 

1.無呼吸とは?

早産の赤ちゃんの無呼吸の定義は「新生児の呼吸が20秒以上止まること」「呼吸が止まることで心拍数が下がる(1分間に80回以下)、SpO2が85%を切ること」です。

※なにか無呼吸が起こる原因となる病気があるときはまた別です。

 

2.無呼吸はなぜ起こるの?

無呼吸の原因としてはおおまかにいうと2つ。

①気道が閉塞している/しかけている

モゾモゾ動いて姿勢が崩れると、無呼吸を起こしやすいです。大人も変な姿勢だと苦しいですよね?

赤ちゃんはまだ自分で姿勢を直せないので、大人が姿勢を直してあげる必要があります。姿勢を直してあげるとすぐに良くなります。

②未熟なため起こる無呼吸

早く生まれた赤ちゃんはまだまだ成長発達途中です。脳が「呼吸してねー!!」と命令を出すのを忘れてしまったり、からだにうまく伝わらないことがあります。

また、何らかの理由でからだの中の酸素が減ったときは「呼吸の回数を増やす」ように働くのですが(全速力で走ると息があがりますね)、早く生まれた赤ちゃんたちはうまく対応できず「呼吸がさらに減る/止まる」という反応を起こします。

そのため、無呼吸が起こりやすい状態になります。

 

3.無呼吸が起こったら?

無呼吸が起こると、モニターの数字が大きく変化することが多いです。

 まず、息をしていないので「呼吸数」のグラフが平らになる。そしてSpO2(酸素の値)が下がってくる。HR(心拍数)の値も下がるかもしれません。

赤ちゃん本人をみると、息をしていないのでからだが上下に動いていません。

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いちおう上に書いたように無呼吸とは「20秒以上の呼吸停止」なのですが、息を止めている赤ちゃんを20秒以上ほっておくなんてことはせず、「息をするのを思い出してね」との思いを込めて優しく赤ちゃんのおしりをさすります。それでもなかなか呼吸が始まらないときは、からだを起こしたりして刺激します。それでも難しいときは、マスクをあてて強制的に空気を肺へ送ります。

姿勢がどうだったか、本人の呼吸の戻り方はどうだったかを振り返ります。

 

4.無呼吸の治療、その後は?

基本的には週数が進めば進むほど頻度は下がっていきます。口からミルクを飲む練習を始めると、疲れてやや増えることはあるかな・・?

無呼吸を起こすような病気がなければ、成長とともに良くなります。なので、無呼吸が起こったらすぐに駆けつけて刺激→呼吸を思い出してもらう→姿勢を直す の繰り返しになることが多いです。あまりにも頻度が多いときは(早産の子は毎日何回も起こすことが多々ありますよ)無呼吸発作を軽減する薬を飲むこともあります。副作用でおなかがはったり気持ち悪くなりやすいのでそこは本人の状態を見て医師が決めます。

また、無呼吸で疲れ切ってしまい体重が増えない、ほかに何か弊害が起こっているときは、成長を待ちながら呼吸器を使うこともあります。

眼底検査

今回は赤ちゃんの目の続きで、NICUではよくある「眼底検査」についてです。

眼底検査の日は赤ちゃんの目が赤くなっていたり、ぐったり疲れていたり。面会や育児も制限されていたりとあまりいい印象はないかもしれません。

 

1.眼底検査とは

眼底検査とは、目の奥(眼底)に光を当てて、網膜や視神経などを観察し異常がないかを調べることです。

早く生まれた赤ちゃんは、「未熟児網膜症」という目の症状が起こりやすいため、悪化させないようにその子に合ったペースで検査を受けます。生後3週間ごろから検査を始めることが多いです。また、生まれた後に酸素を使った場合も受診することがあります。

2.どうやってやるの?目薬の副作用って?

①まず眼底検査をするために「散瞳」する必要があります。(散瞳することで眼底が見えるようになります)

そのために、検査の前に目薬をさします。この目薬が少しやっかいで・・

副作用として

・無呼吸(息を止めてしまう)

・徐脈(心臓の動きが一時的にゆっくりになる)

・消化管の運動低下(おなかが張る、哺乳が進まない、消化が悪いなど)

がよく起こります。なので、眼底検査の日はちょっと体調が悪くなってしまう子も多いです。

 

②散瞳すると眩しいので、眼科医が来るまで保育器や部屋を薄暗くして待ちます。

 ③眼底検査のときは目をしっかり開ける必要があります。赤ちゃんに、「目をしっかり開けてねー!!」と伝えても難しいので、↓のような器具で目を開けます。見た目は痛そうですが、眼底検査用の器具なので安全に使えます。

ただ、途中で赤ちゃんが暴れてしまうと危ないので、タオルなどでしっかり手もくるんで、看護師が優しく押さえながら実施することが多いですね。

検査の方法としては、開いた目に光をあてて、拡大鏡のようなもので目の奥を観察します。血管が変な方向に伸びていないか?出血はないか?などを見ています。

(使う機械は眼科の先生や施設によって様々です)

 

検査のあとは目の周りが少し赤くなってしまうことがありますが、すぐに治るので安心してください。

※絵が下手でホントすみません。

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④検査が終わったら、おくるみを外して引き続き部屋は薄暗くしたまま経過観察します。目薬の副作用が強くでることも珍しくないので、当日のご家族による育児はおやすみになることもあるかもしれません。

 

眼底検査は、見た目もなかなかインパクトのある検査です。

遭遇してしまうと辛く感じる方もいらっしゃると思います。

未熟児網膜症は進行し始めると早く、将来の視力にも大きく関わる症状なので、一緒に乗り越えていければと思います。

赤ちゃんの視力

こんばんは、すっかり更新が滞ってしまいました。

今日は赤ちゃんの視力の発達についてです。

よく、「目が見えているんですか?」と聞かれることがあります。気になりますよね。

 

1.光は29週ごろから、物は32週ごろから見えている

光に対して眩しいと感じるのは、だいたい29週からと言われています。24週ごろでも、光に対して顔をそむける反応があることもあるとか。

焦点を合わせる能力はまだまだなので、物がはっきり見えているかは分かりませんが、目の前に物や人の顔がくると、じっと見つめるような反応はあります。

赤ちゃんの目のすぐそばで指を動かしたりしても目を閉じることはありません。見えていないのではなく、「目に指がささったら痛い」と知らない=目を閉じない ということです。

 

2.40週の段階で、視力は0.02~0.05

焦点を合わせられるようになるのは正期産でうまれてから1~2か月ごろ。

早く生まれた赤ちゃんたちも、お父さんやお母さんが保育器ごしにのぞいていたり、抱っこしてくれている姿はぼんやり見えているかもしれません(^^♪

見たものを理解し「気持ち」を表現するのは3か月くらいといわれます。

目の動きの発達は、下側からなので、下の方から物を見せる方が反応が良いです。

 

 

視力検査ができるわけではないので、「視力」そのものを測ることは難しいです。

NICUに入院している赤ちゃんたちは、「未熟児網膜症」という目の症状に悩むことが多くありますので、今後視力がしっかり発達していけるかな?と眼科医のチェックを受けています。検査自体がなかなか大がかり(なように見える)、治療が必要になることもありますが、今後の目の発達にとても大切なことなので赤ちゃんの状態に合わせて診察スケジュールを組んでいます。

早産で生まれた子の特徴~循環編~

更新が滞っていましてすみません。

今回は前回に続いて早産(早産ではない赤ちゃんにも当てはまることもありますが)の子の循環についてです。

循環というのは、心臓の動きや血液の流れを指します。

 

1.高い心拍出量

赤ちゃんは大人に比べると1回の心拍出量(心臓が血液を送る)が高い。

=常に目いっぱい働いていて、余力が少ない。

2.心臓の筋肉が未熟

必要に応じて心臓から1回のどきどきで送る血液の量を増やすことが難しい。

心不全になりやすい

3.心拍数に依存している

もともと目いっぱい働いている&送る血液の「量」を増やすのは難しいので、血液をもっと送らなければならないときは心臓を動かす回数を増やしている。

泣いているときはモニタ上に心拍数が200回などと表示されてびっくりすることもあるかもしれません。

4.血液が減ったり酸欠になると大事な臓器が優先される

出血続いて血液が減ったり、呼吸状態の悪化で酸欠になったりすると脳、心臓、肺に多くの血液が流れるようになる。逆に言えば、優先度の低い臓器が酸欠になりやすい。

早産の赤ちゃんで起こりやすい壊死性腸炎は、この特徴が原因とも考えられます。

5.大人と心臓の構造が違う

これは早産ではなくても、赤ちゃんみんなに当てはまることです。

お腹の中にいるときと、生まれた後では心臓の構造、血液の流れが違います。

お腹の中ではお母さんから酸素をもらっていますが、生まれた瞬間から赤ちゃんは自分の肺や心臓の力だけで酸素を得て生きていかなければなりません。

「お母さんに助けてもらうときの心臓の構造、血液の流れ」から、「自分だけで生きていくための心臓の構造、血液の流れ」に変化させるときに、なにかしらの理由でうまくいかない、時間がかかることがあります。

動脈管開存症、卵円孔開存、などがよく出会う症状としてあげられます。

こちらはよく起こることなので、また別の記事でまとめますね。