NICUナースのおしごと

NICUで働く看護師が、NICUのこと、赤ちゃんのこと、育児のことを綴ります!インスタはnicubaby.instaです!

早産で生まれた子の特徴~循環編~

更新が滞っていましてすみません。

今回は前回に続いて早産(早産ではない赤ちゃんにも当てはまることもありますが)の子の循環についてです。

循環というのは、心臓の動きや血液の流れを指します。

 

1.高い心拍出量

赤ちゃんは大人に比べると1回の心拍出量(心臓が血液を送る)が高い。

=常に目いっぱい働いていて、余力が少ない。

2.心臓の筋肉が未熟

必要に応じて心臓から1回のどきどきで送る血液の量を増やすことが難しい。

心不全になりやすい

3.心拍数に依存している

もともと目いっぱい働いている&送る血液の「量」を増やすのは難しいので、血液をもっと送らなければならないときは心臓を動かす回数を増やしている。

泣いているときはモニタ上に心拍数が200回などと表示されてびっくりすることもあるかもしれません。

4.血液が減ったり酸欠になると大事な臓器が優先される

出血続いて血液が減ったり、呼吸状態の悪化で酸欠になったりすると脳、心臓、肺に多くの血液が流れるようになる。逆に言えば、優先度の低い臓器が酸欠になりやすい。

早産の赤ちゃんで起こりやすい壊死性腸炎は、この特徴が原因とも考えられます。

5.大人と心臓の構造が違う

これは早産ではなくても、赤ちゃんみんなに当てはまることです。

お腹の中にいるときと、生まれた後では心臓の構造、血液の流れが違います。

お腹の中ではお母さんから酸素をもらっていますが、生まれた瞬間から赤ちゃんは自分の肺や心臓の力だけで酸素を得て生きていかなければなりません。

「お母さんに助けてもらうときの心臓の構造、血液の流れ」から、「自分だけで生きていくための心臓の構造、血液の流れ」に変化させるときに、なにかしらの理由でうまくいかない、時間がかかることがあります。

動脈管開存症、卵円孔開存、などがよく出会う症状としてあげられます。

こちらはよく起こることなので、また別の記事でまとめますね。

看護師があれこれ聴く訳とは!?

こんばんは。

NICUに通っていると、看護師からいろいろなことを聴かれることがありますよね。

おうちのこと、家族のこと、仕事のこと・・・

本当にさまざまな家庭があると思います。もしかしたら話したくないこともあるかもしれません。

もちろん話したくないことを無理に聞き出すことはできないのですが、いったい何のための質問なのか、書いていきます。

 

病院には、いろいろな仕事をしている職員がいます。

人の話を聞く仕事、社会的なサービス(市役所や保健師など)につなぐ仕事など。

赤ちゃんがNICUに入院することで、家族は生活が大きく変わることと思います。

そんなとき、ご家族の困りごとやニーズに合わせた対応をしたいと考えています。

お母さんが精神的につらくて、誰かに話を聞いてほしい(看護師からみて、話を聞いてもらった方がいいのではないかと感じたときも含む)場合は、臨床心理士というスタッフにつなぐことで少し力になれるかもしれません。

お金がなくて困っている、出産費用や入院費が払えない、などの事情があればソーシャルワーカーという人につなげば利用できる制度を一緒に確認できます。

退院後、育児できるか不安、医療ケアを持ち帰るんだけど不安・・であれば、地域の保健師へ直接伝えることもできます。

きっと、赤ちゃんのためとはいえご家族も疲れていることと思います。少しでも楽に過ごすにはどんな方法があるか、答えは見つからないかもしれないけれど一緒に考えることはできます。

赤ちゃんの病気や、早く産まれたことがどうしても受け入れられない、というケースもたくさんあります。そこを乗り越えるために「今どんな気持ちか」お話を伺うこともあります。

 

マニュアルのある仕事ではなく、人と人とのコミュニケーションなのでスタッフと相性が合わないこともあるでしょう。そんなときは、担当の者じゃなくても良いので相談してみてくださいね。

NICUのモニターの見方

今日はモニターの見方について書いていきます。

モニターにはいろいろな数字が表示されていて、常に変化しているけれど・・一体なんの数字なんでしょう?と疑問に思う方もいるかと思います。

※モニターの種類、メーカーによる違いはあります

 

▶そもそもモニターって?

赤ちゃんの状態を数字で表したものです。

例えば「顔色が悪い」というのは見る人によって基準があいまいですが、数値化されればみんなが同じ基準で動くことができます。

またスタッフがずっと付きっ切りで赤ちゃんを見られるわけではないので、何か変化があればすぐに知らせてくれるありがたい機械です。

・身体の中の酸素を測るもの(サチュレーションモニター、SpO2モニター)

・心臓の動きを測るもの(心電図モニター)→呼吸もとれます

・体温を測るもの(体温プローベ)

など

 

▶モニターの見方

f:id:chisanicu:20210518230837j:plain

 

(手書き感あふれるイラストですみません。)

 

①心拍数

一番上の緑色の数字は1分間の心拍数を表します。隣には心電図が。

赤ちゃんは大人に比べて心拍数が多く、振れ幅も大きいので120~160回くらいが普通です。ぐっすり眠っていれば90回、大泣きしていれば200回超え、なんてこともあります。心拍数が大きく変わったときはモニターが鳴るように設定してあります。(設定はその子に合わせて適宜いじっています)

心電図は、波形をみたり、不整脈などがないか観察しています。

②血圧

2番目の赤い文字は血圧です。

こちらも大人に比べるとずいぶん低いですが、正常です。

血圧を測ることによって心臓の動き、全身の血液循環の状態などの指標になります。

心臓に作用するような薬を使うこともよくあるので、その子の状態に合わせて測っています。

③SpO2(酸素飽和度)

3番目の水色の文字は酸素飽和度です。

簡単にいうと、身体の中の血液が100あるとして、その中の何%が酸素を持っているか、ということです。おそらく89%になるとアラームが鳴るようになっている場合が多いかなと思います。ただし、もともと心臓や肺の病気があると通常時でももっと低くなる場合もあります。(常に70%、という子も何人もいました。)

この数字がどんどん下がっていく様子があれば、しっかり酸素が取り込めていない状態なのですぐに対処が必要です。

④呼吸数

一番下の黒い文字は呼吸数です。

こちらは本当の呼吸数との誤差が大きい印象です(-_-;)

 

ほかにも、体温を持続で測っていれば体温が表示されていたり、いろいろな情報がのってきます。

 

 

早産で産まれた子の特徴~呼吸編~

こんばんは。

早産で産まれた子はみんなそうなの!?それとも我が子が具合が悪いの!?と聞かれることが多いことについてまとめようと思います。

ちなみに早産ではなくても当てはまることもあります。

すべてを一つの記事に書くとものすごく長くなるので、今回は呼吸編です。

できるだけ分かりやすい言葉を心がけますが分かりにくかったら教えてくださいね。

 

1.胸郭(肋骨などで出来ている籠のような空間のこと。中に肺や心臓などの臓器が入っています)が柔らかい

→胸郭の形が姿勢や肺の状態によって変わりやすく、臓器を圧迫しやすい。

→呼吸の効率が悪くなりやすい。

 

2.そもそも肺の中で換気できる場所が少ない。

→一度の呼吸の効率が良くない。

→呼吸の回数を増やして効率をあげる

 

3.脳が「呼吸をしてね」と命令する力がまだ未熟。

→命令が途切れて「無呼吸」を起こしやすい。

この無呼吸は、必ずと言っていいほど全員が通る道だと思って間違いないです。呼吸が止まるのでモニターが鳴り、看護師がかけつける場面は多々あります。

 

4.お腹が膨れていると肺(正確には横隔膜)が圧迫され、呼吸に影響しやすい。

→何らかの理由で空気を飲み込んでいる、哺乳後、お腹の調子が悪いとき・・などは呼吸が不安定になりやすいです。呼吸器を使っていると空気を送り込んでいるためお腹が張りやすく、定期的に空気を抜く必要があることもあります。

 

5.空気の通り道(=気道)が狭い

→唾液や分泌物などで塞がりやすい。挿管(呼吸器を使うために口から管を入れている)していると、むくんでしまって塞がることもある。

 

6.肺(正確には肺胞)を広げる物質が少ない

→生まれたあと、基準値よりも少ない場合は呼吸器の管から薬として投与します。

(=肺サーファクタント)

内容が難しくこれだけでも記事がかけそうなので今回は割愛。

 

 

面会中にアラームが鳴って、みるみるうちに赤ちゃんの顔が真っ青に・・なんて経験のある方もたくさんいると思います。とてもとても不安になる時間ですよね。

もちろん赤ちゃんの状態によって、「みんな同じ、みんな通る道」とは言えないのですが、早産で産まれた赤ちゃんたちの特徴として呼吸が不安定になりやすい理由がいくつもあります。

成長とともに少しずつ乗り越え、赤ちゃんの力だけでは難しい部分はどんなフォローが必要かをご家族と考え、「その子にとってベストな状態」で退院できる手助けをしたいなと日々思っています。

インターネットで情報収集すること

こんばんは。

今日はNICUの具体的なお話ではありません。

 

今はネットで何でも調べられる時代です。

私もスマホで調べ物をしている毎日です。

「調べない」のは難しいと感じますが、調べすぎて辛くなってしまうお母さんたちがあまりにも多くて。

赤ちゃんの状態をご説明しても「ネットにはこう書いてあったのに」と言われることもたくさんあります。みなさん、たくさん勉強していて頭が下がります。

勿論、大切な子どものことなので調べるのは当然なんですよ。知りたい気持ちもとっても分かります。分からないって、とても不安になりますよね。

 

ネットに載っている情報が全てが間違っているとは思いませんが、例えばほぼ100%起こる軽い症状と0.1%しか起こらない重い症状が並べて書いてあることも多々あります。

でもそこになんの注意書きもなければ、重い症状が起こるような気がしてしまいますよね。(もちろん可能性はゼロではないのですが)

同じ週数、体重、病気で産まれても、みんなが同じようには経過しません。

成長発達や症状の現れ方、重症度…どれをとっても絶対に同じにはなりません。

なので、不安なことや気になることは主治医や看護師に相談したり聞いてもらえたらなと強く思います。赤ちゃんを毎日みているスタッフならば、より正確な情報をお伝えできます。

スタッフ間で、赤ちゃんの様子や今後の方針などを頻繁に共有して話し合っています。

忙しくてその日にゆっくりお話することができないこともあるかもしれませんし、話しかけづらい…ということもあると思います。

でも、NICUのスタッフはご家族が希望されればきちんとお話する時間を必ず作ります。

今はコロナ禍なので、面会も厳しく制限されていることと思いますので、なおさらです。不安な気持ちは増幅させずに教えてくださいね。

 

離れている時間に、子どもを想うばかりに、必要以上に辛い思いをして欲しくないなと本当に思います。

赤ちゃんが昨日より今日、今日より明日…と少しずつ、時には少し後戻りしながらも前に進む姿を一緒に応援できたら嬉しいです。

 

 

 

…とはいえ、やっぱり調べちゃいますよね…(^_^;)

(私もです)

経管栄養について

こんばんは。更新がかなりの間滞ってしまってすみません。

 

今回は、「経管栄養」について書いていきます。

 

■目次■

1.経管栄養とは?なぜ必要なの?

2.どうやってやるの?

3.経管栄養からどうやって経口哺乳へ移行していくの?

 

 

1.経管栄養とは?

経管栄養とは、胃チューブ(ST,NGなどと略されます)から直接胃へ薬、ミルクを送ってあげる方法です。

早く産まれた赤ちゃんは、口からミルクを上手に飲むことができません。

だいたい35週ごろから「息をしながら」「ミルクを吸って」「飲み込む」ことができるようになってきます。それまでは、口から飲むことで呼吸を忘れたり、ムセたりしてしまいます。なので、口や鼻から胃までチューブを入れることになります。

また、嘔吐が頻繁にあったり消化器系の病気・症状がある場合や、口唇口蓋裂など哺乳そのものが難しい場合、本人に哺乳の意欲がない場合、空気をたくさん飲み込んでしまう場合(チューブから空気を抜きます)にも多く用いられます。

 

2.どうやってやるの?

口や鼻の穴からチューブを入れます。呼吸に合わせながら入れるとスムーズです。

チューブが抜けないように、テープで固定します。

医師や看護師が、チューブがちゃんと「胃」に入っていることを確認します。もし気管に入っていたら大変なので、経管栄養をする前にも必ず確認します。

(看護師が黄色い注射器をチューブにさして、聴診器でなにやら音を聞いている様子があると思います。)

薬やミルクをチューブから入れます。量が多いときは、

・自然滴下→ミルクを入れた注射器の高さを変えて注入の速さを調節する

・シリンジポンプ(機械)を使う→一定の量を正確に注入できる。ゆっくり注入するときはこちらが主

のどちらかが多いと思います。

注入の速度は、赤ちゃんの呼吸や消化など状態をみて判断します。

消化が追い付いていない、呼吸状態が不安定、嘔吐が多いなど症状が目立つときはゆっくり1時間かけることもよくあります。全身状態は良いけれど、まだ口から飲むのは難しい・・・などの場合は30分程度。経験上、あまり早く注入すると吐いてしまうことが多いです。

 

3.経管栄養からどうやって経口哺乳へ移行するの?

口から飲めるようになる時期は、正直赤ちゃんによって様々なので「ここ!」と一言でお伝えするのは難しいです。先生の考え方にもよるかもしれません。

早産の赤ちゃんの場合は、修正34~35週になったら「少し口から飲む+注入」から初めて、徐々に経口哺乳へ移行していきます。最初は一生懸命飲むあまり息を止めてアラームを鳴らしたり、顔色が悪くなる、途中で寝てしまうパターンがほとんどです。週数が進むと改善してきます。1日目で全量飲めてしまう子もいれば、数か月かかる子もいます。

口唇口蓋裂などの場合は、専用の哺乳瓶を使って練習していきます。

呼吸状態が良くない、など具合の悪い場合は本人の意欲と身体の状態を考えて、慎重に進めます。

有効な搾乳方法(搾乳機)

更新が滞り、すみません。

本日は、前回ご紹介した搾乳機を用いた搾乳のポイントについて書いていきます。

実際の細かい使い方は、お使いの搾乳機の説明書を見て頂いた方が良いかもしれません。(仕様が製品、メーカーによるので)

 

▶搾乳前に「刺激」する

前回ご紹介したメデラ社の搾乳機は、搾乳だけでなく乳頭の刺激をすることができます。

詳しくはこちら↓

 

www.chisanicu.com

 刺激をすることで、「射乳反射」が起き母乳の分泌が良くなります。

 

▶搾乳口の大きさ

搾乳口=搾乳機の「乳頭が入る部分」のことです。

そもそも搾乳口の大きさを選べる製品が少ないのですが、前回ご紹介したメデラ社のものは、搾乳口がSサイズ(21mm)、Mサイズ(24mm)、Lサイズ(27mm)、XLサイズ(36mm)の4種類あります。

適切なサイズの目安としては、

乳頭が無理なくトンネル(搾乳機の穴)に入り、かつ乳輪もほんの少し入るサイズ。

搾乳するたびに乳頭がトンネルの壁にこすれる、逆にスカスカすぎると有効に搾乳できないばかりか、乳頭をケガしたり、むくんだりとトラブルに見舞われます。

 

▶搾乳の強さ

手動では自分の力加減で、電動では機械を操作して、搾乳の圧を変えることができます。

よく、痛い方が出る!と信じておられる方とお会いするのですが、痛いのを我慢して搾乳することは逆効果です。からだも緊張しますし、せっかくの赤ちゃんのための時間なのに、搾乳が苦痛になってしまいます。トラブルも起こります。

なので、「痛くない範囲で、一番強い圧」が正解です。少しでも痛いなと思ったら圧を下げましょう!

 

▶搾乳する時間

基本的には、左右ともに母乳を搾り切ってしまう方が、分泌量は多くなる傾向にあります。できれば、出なくなってからも1分程度続けた方がいい(手によるマッサージなら尚良い)という文献もあります。

母乳過多で困っている場合は、搾乳することでさらに量が増えるので、搾乳量or回数は少なめにした方が良い場合もあります。が、ここで意識して減らしていくと、いざ赤ちゃんが退院する!となった頃に今度は足りなくなってくる場合もあります。今後どのように母乳育児をしていくかを考えながら調整する必要があります。

 

▶量を増やすにはダブルポンプが一番有効

またまたメデラ社の話になってしまうのですが(本当にいい搾乳機なんです・・)、もししばらく赤ちゃんに飲んでもらえそうにない、しかし母乳は続けていきたい!という強い希望がある場合は、電動搾乳機で両胸を同時に搾乳できるシンフォニーがおすすめです。

こちらは文献ではっきりと、「母乳の量が増加しやすい」「射乳反射が起きやすい」「母乳の成分に脂肪が含まれやすい」と記載されています。

また、できるだけ早く使い始めることが奨励されています。

 

 

ご質問等ありましたら、インスタグラムへコメントやメッセージをどうぞ。